演劇の力を利用した空間作り

 今まで、演じたり、観たりしてきた芝居には、現代劇はもちろん、時代の違うもの、外国のもの、SFもの…と、様々な種類があった。時代背景や世界観が、まったく違う様々な作品を、同じカンパニーが扱う。こうした変幻自在な力も演劇の持つ魅力だと思う。
 この空間作りのパワーを、劇場以外の場所でも発揮できないだろうか。
 例えば、最近どんどん増えているメイド喫茶はどうだろう。
 わたしは、メイド喫茶もすでにひとつの劇空間として完成していると思う。本当はメイドではない、萌系の女の子。彼女はメイドの○○ちゃんを演じている、役者だ。メイド服は、衣装。「おかえりなさいませ、ご主人(お嬢)様。」が、基本の台詞。そして、ご主人(お嬢)様は、観客であり、役者でもある。
 そしてわたしがすごいと思うのは、この、本来なら観客になるだろう喫茶店の客を、役者としても扱っていることだ。ご主人様という役を与え、ときには、メイドさんとゲーム♪という形で、この劇に参加してもらう。
できあがった異世界の空間。足りないのは、あなた。あなたが、この空間に参加したときに、この空間が完成する。そうした、参加する演劇でもあるのだ。